GDC報告その6

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GDCレポートの最終回です。時系列は前後しますがGDCのアワードのレポートをしたいと思います。
最初、アワードはそれほど興味はなかったんです。ただ丁度時間が空いててね。アワードの方はともかく、インディーゲームの方のアワード、IGFは見ておこうかなーって思ってプレイズムマン1号と一緒に後ろの方からちょろっと覗いてみようかって会場に向かったわけです。面白くなかったら帰って飯食おう程度の気持ちでね。
演出もすごいよノミネート者だけのエリア
そしたらこんな会場ですよ。ぼぎゃーんと広い会場で、ばぎゃぎゃーんとライトアップされてさ。インディーゲームのアワードなんて小さめの会場でのほほんとやるもんかと思ってたんだよ。するとこの有様で圧巻されてしまいましてね。一体何が起こるのかと。
部門ごとにノミネートされた作品が1つずつ映像と煽るナレーションで紹介されていくと、観客も作品ごとに歓声をあげる。映画のアカデミー賞授賞式みたいな盛り上がりと言うか会場というか雰囲気と言うか。いや、アカデミー賞見たことねーけど。
IGFが終わってゲームオブザイヤーアワードになっても同じ会場・同じ規模で続く。ということはですよ。インディーゲームの授賞式がゲーム業界全体の授賞式と同じ規模で扱われてるってことなんです。
司会をしているのはゲーム開発者の誰か。そして大賞のプレゼンターは去年の大賞をもらった開発者。今年はFEZのフィルフィッシュ氏も出てたよ。

この2つの授賞式の結果や内容はいろんなところで紹介されていると思うのでいまさらここでは語りません。当然ながら英語でやってたので細かい部分まではわからなかったしね。というか授賞式を見ている間、俺はその内容よりも別のことが頭をぐるぐる回っていたのでそっちを書きたい。

最近のインディーへの注目度などもあわせて、徐々に規模が大きくなったんだろうなというのはわかる。最初からこんな大々的にはやってなかったんだろう。GDCに行く前まではコンシューマーで発売できれば、Steamで発売できれば、GDCで講演できれば、と売上げ面はともかく「これは日本人ではなかなか到達してないところまで来れたんじゃないか?」と事あるごとに浮かれていたし、実際そのようにほめられていたように思う。日本人初だ、凄いことだ、と。
反面、「凄いことを達成したのになぜ大成功と言えるような売上げにならないのだ?」とか「海外のインディー成功事例のようになれるのはいつだ?」と常々疑問に思っていたからこそ、このアワードを見て思ったのは「そうか、ここに立てないからだ。」という更なる巨大な壁を見てきてしまったことにたいする絶望と言うか怒りだ。怒りだな。
毎年のようにGDCに行くメディアの人とか業界の人って日本にも結構いるはずですやん。その人たちはこのでっかい壁を何年か前から見てるはずよね?この現状を知っておきながら俺に「GDC登壇おめでとうございます」とか言ってたのか?それとも壁とは感じなかったのか?ちくしょう、俺に隠してたな?そりゃ危機感なんて日本まで伝わるわきゃねーよな!とぐつぐつと頭の中で調理していましたね。

たどりついた先で新たな壁にぶつかるというのは成長にもつながることなのでそれは良い。
自分はデザイナー時代からフリーでやってたし、会社づとめもせず自分のゲームを作るなんてやってるのだから「ダメなものを作ったら簡単に消えてしまう」ぐらいの覚悟は完了しておる。ボーナスも保障も有給もない代わりに自分の意思で物を作ることを選んでいるわけである。だから「クソゲー作った」という理由で没落していくなら文句は言わぬ。
さらに言えば覚悟してやっているぶん、自分の作品を出すときは納得いくものを自信を持って公開する。そしてだからこそ、アワードにエントリーされている作品と自分の作品が大きな意味で「大して変わらない」というのもわかる。メタスコアなんてアバウトなものを基準にしたくはないが、80以上の点数をもらっており、ゲームとしての面白さや完成度は認められていると思ってもよいでしょう。賞をもらっている作品の「独自性」や「キャッチーさ」がウチの作品には足りないってのも良くわかる。でもそこにアワードの舞台に「立てる人」と「立てない人」の差があるらしい。だからといって「独自性」を入れられたらアワードに選ばれるなんて単純なものではない。

ぐだぐだ書いてなんて結論を出すのかと思われるかもしれないが、一番でかいのが「知名度」。これは自分たちが活動してきて一番壁に感じていることであり、良いゲーム面白いゲーム独自性のあるゲームを作るうんぬんの前に「知られていない」ってのが大問題なのだ。厳正な審査うんぬんよりも「有名なものの方が票は集まる」てのが自分たちではどうしようもないのだ。
「ばかめ、票の集まるほどの作品を作るから有名になるんだろうが。」と言われるかもしれないが、ニワトリ卵だ。面白さを知ってもらおうにも知ってもらうすべがないのだ。当然資金などないわけだからテレビや雑誌に広告載せるなんてことは出来ないのでWEB上で自分たちのできうる範囲の広報はしてきたが、海外のメディアにツテがない。知り合いのライターはいるが頻繁に会ってるわけじゃないから海外で大々的に宣伝してもらうなんて話も出来ない。
つまり「日本に住んでいる以上、知ってもらう手段には限りがある。」ということが言いたいのです。

つまり「海外に比べて日本のインディーは盛り上がりにかける」と言うのはいいが、それを乗り越えるには「日本のダウンロード販売の普及の低さ」や「日本国内でのインディーの注目度の低さ」とかだけでなく、今挙げた「日本に住んでいる」ということまで壁になるんですよ。こんなもん、俺個人やインディーのチームでどうにかなるような壁ではないですよといいたいのです。当然これからも自分たちで壁壊す為にあがき続けますが、「これからのインディーゲームはチャンスですよ~」と軽く考えてるといかん。海外でのインディーゲーム成功例というのはあのアワードに立つほどの人たちが成し遂げてるってだけなんだから。

GDCが終わって3ヶ月ほど経ってるし、GDCって華やかで凄い話がいっぱいだねーというまとめが多い中で、あえて自分は危機感のほうを提示してGDCまとめを終わりたいと思います。
うんこー。

130628

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Comments

  1. ボスのGDCから感じた所、しっかりと拝見させていただきました。

    一プレイヤーが感じている所を申し上げると、インディーゲームに限らず、日本人の中に
    「知名度の低いゲームを買ってまでプレイする(金銭的にしろ時間にしろ)余裕が無い」
    という事があるのも売り上げ堅調の原因の一つではないかと思うわけです。

    知らないゲームは買わない・買えない→名の知れているゲーム,無料のゲームで落ち着く、という。
    ある「知名度」の高いシリーズ作品では、16年前の作品の関連グッズがいまだに発売される状況ですし。

    LA-MULANAプロジェクトが一区切り付いた所かと思いますが、そろそろこちらとしても新作の情報が欲しい所でもあります。
    薔薇と椿を超えるインパクトのある作品を期待します。

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