その9:地道にマップ作り替え

まだまだ語ることがつきません。
俺はちょいちょい、1週間ぐらい家庭を離れてホテルに缶詰っていう作業をさせてもらっているんですが、そういう時に何をしているかと言う話をしましょう。確か、缶詰をしてた当時も情報公開前だったからホテルで何をしてたかは公開してなかったはずなので。

では実際何をしていたかというと、企画の練り込みです。ホテルということは普段の作業環境はない、持っていけてもノートパソコンぐらい。基本的に頭と手を使うだけの作業になります。
LA-MULANAの時にやった缶詰はオリジナル版のマップをチェックして、リメイク版のマップを考える作業に使いました。

旧マップ
オリジナル版を作っている時にこういうものを作ってました。色が薄くなってるのは、これをプリントアウトしていろいろと書き込むためです。主にデバッグ作業のために使ってました。自分の担当であるスクリプト(敵がどこにいて、宝は何が入ってて、どういう仕掛けがあるかとかを制御するもの)のミスなどをテストプレイしながら書き込んでいくんですね。
せっかくなのでこいつを利用して、どこを作りなおすか書き込む所から始めてました。

遺跡スケッチ
それと同時進行で各フィールドごとに設定をしっかりつけ、フィールドのデザインのネタになる実在の遺跡の写真を見てスケッチを描きためました。ティワナコとかホチョブとか書き込んでるのが遺跡の名前です。このスケッチから実際にマップパーツに使うディティールを選びます。

マップ計画旧版
さらに同時に、お手伝いさんにこういうものを作ってもらっておきました。オリジナル版のマップをPhotoshopファイルでこういう形にまとめておいてもらったものです。壁や背景、アイテムが別レイヤーに分けられているので、これを改造してマップデザインを再構築するつもりだったのです。ここまでが家で前もってやっておいた作業。

導きの門スケッチ
地上スケッチ
これらを見ながら、こういうスケッチを描きためていきました。まだどういうグラフィックになるかも定まっていなかった頃なので、とにかく自分で描いてイメージを固めていこうという作業です。実際には導きの門、地上、巨人墓場、太陽神殿、死滅の碑ぐらいはこういうスケッチをやってたんですが、それ以降は直接パソコン上でマップパーツ作りをするようになりました。遺跡ごとのスケッチも表フィールドしかやってない。慣れてきたってのもありますし、裏フィールドは表フィールドで作ったマップパーツをうまく流用すればよかろうという考えで。もちろん、製作スケジュールが押しまくってたから手間を省こうってのもありました。

マップ計画
遺跡のデザイン、リメイク版のコンセプトに沿ってマップを改造していいます。これを缶詰中に全フィールド作り直していったのです。缶詰前にネタをためまくっておき、頭の中にいろんなイメージやアイディアがうごめいている状態で缶詰に突入、誰からの邪魔も入らない期間に一気に形にして吐き出すと言うやり方です。

導きの門
メモには石碑に割り当てるメッセージの番号、壷の中身を管理するフラグ番号まで書き込んでます。部屋の名前もこの時点で決めてますね。マントラ石碑の位置がこの時点で製品版と変わらないのは、このネタが事前のアイディア詰め込み段階で思いついたものだからでしょうね。

導きの門描き込みここの地形を変えようとしていたみたいです。ここの語り部はガーディアンに関する重要なヒントだったため、移動床が出ていなくても読みにいけるようにという配慮だったみたいですが、直すのを忘れていたみたいですな!

地上
地上のメモ。これを見ると店の商品の値段を何度も修正しているのがわかります。製品版と比べると、温泉が無い、聖杯石碑が無いという違いがあります。この辺はテストプレイヤーからの意見や仕様変更なんかが出てから変更を行ってます。このメモ自体は1枚目で、書き込みが増えすぎてわけわからんちん状態になると、新しいものをプリントアウトして使うので、実際にはこういうものがフィールドごとに10枚ずつぐらいあります。

そして祭壇前の丘、温泉があるヴューの中央にあるハシゴに注目。製品版にはここにハシゴは無いですが、もともとはここにハシゴがありました。そ・し・て。ハシゴは消しているのにハシゴの判定は残っております。是非お試しを! Windows版では消してますよ。

太陽神殿
フィールドにもよりますが、イメージを固めるために背景も結構描き込んであります。ピラミッド右上、そして耐熱ケースを売っている店がある部屋の地形が若干製品版と違います。これはオリジナル版の地形のままだとせっかく描き込んだ神様の石像の顔が隠されてしまうので床をねじりました。

灼熱洞窟
計画を立ててプリントアウトした後に描き込まれているものがあるのがわかりますかな。長崎平和祈念像、ロックマン床、壷の下の落とし穴なんかは作りながら思いついた時に描き込んでいったんでしょうね。鎖ムチの部屋の殺人プレスも初期はなかったみたいです。
左下に描いてあるのは、溶岩のマップパターンが気に入らなくて作りなおそうと思ったときの覚書です。

空の水源描き込み
しかし改めて見直してみると、殴り書きのためなのか、麻痺しているのか、不可解な書き込みも見当たります。右上の「めけ?」ってなんでしょうね? メネ・メネ・ケテル・ウパルシン。

実際のゲーム制作、テスト、グラフィックなんかの作業をしながら、こんな作業をえんえんと続けてたわけです。地味で、現実逃避のような部分もある作業ですが、自分のゲーム作りには欠かせない作業と思っとります。
そんなことをいいつつ、フィールドごとのラフスケッチは早々にやらなくなったりしています。アレこそ重要な作業なんですが、アレは形になるまでとっても大変なので飽きてしまっているんですな! したり顔でゲーム作りを語る資格ナシ!
それでも本編が配信されてDLCの製作に取りかかったとき、せめて地獄聖堂は改めてしっかりとラフイメージから取りかかろうではないか!と己の行動を改めてラフイメージから取りかかりました。

地獄スケッチ
ここでやめてしまってます。これまでの作業工程から逆算して「これで十分。俺、がんばった。」と判断したようです。これ1枚しかありません。

ついでに、ここまでで載せそびれた資料が発掘されましたんで、ここで公開。
[swf]http://nigoro.jp/ja/wp-content/uploads/2012/04/scroll.swf,320,224[/swf]
クリックするとスクロールします。これは開発と言うか企画の初期。マップの多重スクロールの重要性を主張してもなかなか伝わらなかった時に作ったサンプルだったかな。画面固定のゲームなんだから多重スクロールに意味は無いのでは?という議論が続いてたような記憶があります。

テストマップ
これは画面の解像度を小さくすることが決まる前に作られたサンプルマップ。エディタも無い頃で、この画像をduplexさんに渡して手打ちでマップデータを作ってもらったもの。なんでこんなマップになっているかというと、プログラム作業の初期の初期、主人公の動きを作る箇所で水や坂、氷というあらゆる判定を持つテスト用マップが必要だったんです。
こう見ると解像度を落としたあとの方が絵としての完成度が高いと思います。解像度を変えたあとにマップパーツの作り方を変えたからなんですが、この解像度の頃はチマチマとバカ正直にドット打ちで描いてましたね。時間がかかるわ、その割に見栄えもたいしたこと無いわでロクでもないやり方でしたよ。グラフィックの作り方は旧ブログで遥か昔に書いたんですが、フィールド解説に疲れた頃にまた改めて書きましょうかね。

Comments

  1. こういう裏話は本当に関心します。私はプレイ時に地上の隠しはしごを発見し、不具合かな?と思っていたらこんな過去があったなんて!

    私も趣味でゲームを作ることがあるのですが、マップのメモの仕方がならむらさんに非常に似ていて驚きました。
    まずはマップの基盤を綺麗に描いた後、詰め込みたい要素を箇条書きや矢印で書くんですが、丁寧に書こうと思ってもどんどんアイデアが湧いてきて、急がなくては忘れてしまうと思い結果的に文字が斜めになったり平仮名ばかりになったり「めけ?」のような謎の文章が出てきたり…
    でもその汚い紙一枚からゲーム上でのマップが綺麗に出来上がった時の達成感は半端じゃないと思いますね。

    「精子」とか「おやじ乱舞」とかメモでもツッコミ所満載なのはさすがならむらさんだなぁと思いました。

    • ならむら says:

      「殴り書き」ですわね。これでもアマチュア時代から比べたら丁寧に整理して書いてあるほうです。
      前は白紙に箇条書きで暗号のような状態だったので、数時間後に見ても何が書いてあるかわからなかったりしました。
      そして、ここに出したものはまだおとなしいほうです。他のフィールドのメモには「絶妙なタイミングで殺す」とか「とにかく針に落とす」とか、とても愉快な言葉がおどっていました。

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