その10:PVにみる変化の歴史

リメイクLA-MULANAは半年で作り上げる予定でした。はははっ、何をバカな! わっはっはっはっはっはっは。タワケが!
ズルズルと伸びることは早いうちからわかってはいましたが、1年ぐらいで作るつもりで随分早いうちから「作ってるよ!」という情報を出していました。それまではNIGOROはFlashゲームサイトが主な活動だったため、LA-MULANAを作っている間に更新も何も変化が無いままっていうのは避けたかったので、「作っている過程も見せようよ」というつもりで早いうちからの情報公開となったわけです。しかし、公開したくせになかなか発売まで行かないものだから出す情報がなくて早めの公開が意味が無い。そんなことで作りかけ状態でもいいから「動いてますよ!」というアピールのためにPVというか、動いている映像をちょいちょい公開していったわけです。

このPVたち、改めて見直してみると製作の変化がよくわかる非常に価値のある資料だと思ったので、各フィールドの解説に移る前の最後の秘話に選んでみました。PVを古い順にみつつ、何が変わっていったかを解説してみましょう。

LA-MULANA Coming to WiiWare 2009/07/27公開

こいつはPVではない。ご存知の方もいるだろうが、これは情報公開のカウントダウンサイトのために作った一発ネタだ。サイトに載せるわけだし、このころゲーム本編はまともには動いていなかったのだから、Flashで作ったムービーだ。博士のアニメも背景の多重スクロールもすべてFlashで作ったインチキだ。
PVにするつもりもなかった、1回公開してしまいの物だったが、映像として公開しようといわれて出してしまった為に外からPV扱いされてしまったわけだ。これを見て実機での動作と思った人が多く、「動きが悪いんじゃね?」とか「マップ奇麗すぎるんじゃね?」と言われたもんだ。この頃は導きの門以外は俺がPhotoshop上でマップパーツを作っている素材ぐらいしか無かったんだからね。イメージイラストも俺が描いたものだし。

La-Mulana Test Play 2009/10/29公開

これは時期的に、東京ゲームショウで取材陣に見せるために用意したものを公開したんじゃなかったかな。製作の方は太陽神殿ぐらいまではマップもそこそこ組み上がり、敵キャラも動き始めた頃のはず。ただしグラフィック製作が追いつかず、仮作業用の単色キャラが動いてる。これもまたなんの断りも入れずに公開したので「マップの凝り具合に対して敵キャラの色が少なくね?バカじゃねーの?」なんて意見を頂いたが、そんなわけがあるかっ!ばーか。と、今なら言いたい。
映像は手持ちのUSB簡単映像取り込み装置のため、画質は暗いし悪い。
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ソウルのシッポが無いですね。ソウルのシッポに関しては俺の指示通りにサミエルさんが作ってくれたんですが、思った通りの形にならなかった。後にサミエルさんが改良して長いシッポが出るようにしてくれたんですな。
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これが話題になったアルゴス、というかルームガーダー初公開。単色でパーツの区切りをはっきりさせているのはテスト中のためですね。しかし「今度のLA-MULANAでは多関節でデカキャラが動くぞ!」というアピールにはもってこいだったので仮グラフィックのものでも公開してみました。
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この頃は効果音やBGMは一切手を付けてない状態でした。なので実機からの音は消して、オリジナル版のMIDIアレンジを流してごまかしています。音関連はほんとに最後の方に手を付けたので、しばらくはこのごまかしが続きます。
出現するハシゴは最初はこんなグラフィックでした。普通のハシゴに比べておおざっぱすぎるわ!ということで後に描きなおされたんですが、ゲーム中にわずかにこのデザインのままのハシゴが残ってたりして。
しかしこうしてみると、敵の実装がまだまだ進んでいないことがわかりますね。オモリ台が博士より奥にあったり、博士の腕の位置がずれてたり、いろいろわかります。針も太いし。
ちなみに、PVの為に録画している割に動作がぎこちないのは、この頃まともな録画環境を持っていなかったからです。Wiiを直接パソコンに取り込んでいたので、パソコン上に映る遅延した映像を見ながらのプレイだったので、オモリを置こうとして行き過ぎたりとかしてるのです。

La-Mulana Test Play2 2009/12/24公開

クリスマスプレゼントのつもりだったんでしょうね。公開できるネタに困ってきているのが伺えます。
映像を作っていた頃と、その時開発がどこまで進んでいたかは今となっては正確には思いだせませんが、映像に出している部分=見栄え的に出してもいいだろうという判断なはずなので、新たに映像で見せている部分はその時に「ここは仕上がったぜ!」ていう部分だったはずです。
Test Play1と比べると、右上の装備アイコンも出るようになってますし、聖杯コンティニュー、張り付き、天罰、博士のアニメ、爆弾やまきびしを写してるってことは、この頃に各武器が仕上がったってことでしょう。斧のアニメがぎこちないのを見てもわかる通り、良ーく見ると完成品とは結構細かく違ってます。
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斧はあまりにぎこちなかったため、斧の絵を回転させることで滑らかさを増すことに。爆弾の爆発がキラーロックの爆発と同じものを使った実装だったんですが、その頃PVが出て来たSPELUNKYの爆発が凝っているのを見て、「これじゃあかん。」とサブウェポンのエフェクトは徹底して強化していくことになりました。製品版だと手裏剣が壁に当たると火花が散ったり、細かいエフェクトがごりごり増えてます。
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壷の壊れ方が違います。当初は壷の壊れるアニメはパタパタアニメでした。壊れる様を絵として描いてたんです。しかしこれは壁が壊れたりするエフェクトと比べると違和感もあったし、何よりフィールドごとにデザインの違う壷が壊れるアニメを描くのはいやじゃー!ということで変更になったはずです。
裏フィールドまで出し始めてるってことは、マップも敵キャラも裏フィールドの製作に移っていたんでしょう。2ヶ月前の映像からここまで公開範囲が広まってるってことは、結構なペースで敵を作ってたんでしょうね。この頃は敵とか仕掛けを一通り作れば完成のはずだ!と思ってた頃。
壷のデザインが滞っていたため、思いっきり壷の隠し場所が見えてる死滅の碑、吹き出す炎の向きが1つミスっている灼熱洞窟、「押す」という動作が難航しててどこにも見当たらない押し扉とブロックなどなど、今では見れない物だらけ。ブエルも歩き方がヌルヌルしてます。
この頃一番困ったのが博士のダメージ。ゲームは60fpsで動いてて、動画の方は30fpsです。博士のダメージを点滅で表現していたので、タイミングが悪いとダメージ中の博士が見えなくなるんです。これはほんとに困ったなー。以後、博士のダメージ中を映像にもしっかり写すための工夫が繰り返されます。

La-Mulana Test Play3 2010/02/10公開

おかしい、仕様書通りのものが仕上がっているのにまだまだ終わりが見えてこない……。
この頃は間違いなく、俺の中でのダメ出し頻発の頃でしょう。プログラマは必死に、仕様書にしたがって仕上げていきます。この頃作業を伸ばしていたのは俺。グラフィックの作業も遅れ気味だったし、仕上がってきた全体を見て「これじゃまだ出せない。」と仕様の追加や練り直しを行ってた頃かな。しかしマップの製作、ザコキャラ、システムはほとんど出来上がってきており、ルームガーダーが続々とあがってきている頃ですかね。
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輝きの屏風岩のような、オリジナル版には無かった動く仕掛けも次々と実装されてきています。しかし画面の揺れもホコリもまだ無いですね。そしてまだ存在すらしていない押すブロック。デカキャラ用に使っていたアニメ制作ツールを使ったデータを仕掛けとしても流用できるようにと追加実装をお願いしたものが仕上がり、倒れる巨人なんかも実装されてます。
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仮グラフィックだったアルゴスやブエルも仕上がってきました。ナックラビーまで初お目見えなのは、仕上がってきているルームガーダーの中でもっともオリジナル版と変更されたものだったので、PVでファンを驚かすにはもってこいと判断した故の登場でしょう。ゴズメズさんはPVには入れなかった素材から。

さり気なく、リメイク版の新要素として敵の盾処理が加わってます。確か主人公の盾はまだまだ実装もされてなかったはず。
博士のダメージ処理は、ビデオにも映るように点滅ではなく、「不透明・半透明」の点滅に修正したんですが、うまく映りませんでしたな。ソウルのしっぽも長くなってますね。
映像の画質がアップしているのは、この頃から参加してもらったテストプレーヤーさんが良い取り込み環境を持っていたので、欲しいシーンをピックアップして渡して、それを録画してもらう形になったのでした。

La-Mulana Test Play4 2010/03/17公開

ずいぶん短い期間に新しい映像出してますね。なんでじゃろ。多分、当初計画していたリリース日、3月を思いっきり超えることになったので、PV出してごまかしちゃれというのが狙いでしょう。
タイトル画面も出来上がり、暗闇、謎解きの変更、落ちる壁など、絵的に派手なものが実装され終わってきて、PV的にも見応えが出てきました。空の水源のボス部屋の仕掛けが一新されてます。製品版と違い、最後にオモリ台が出てきません。これはテストプレーヤーからの指摘で、「水門の謎解きに関する古文書にオモリ台の絵が描いてあるけど?」と言われて後からオモリ台を仕込んだのでした。
メニュー画面が結構入ってますが、定まりきっていないので文字が枠外にはみ出してしまったりしているのがご愛嬌。フォントも古いですね。
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もうホントに出す出す詐欺と言われるのを恐れていた時期で、とにかく見栄えの良いものを見せて「仕上がってきてますよアピール」に必死だった頃ね。この頃からゴズメズさんとアヌビスさんはPVの常連さんです。右側の壁がバグってますがな。
ベルゼブブのデザインが古いことにも注目。温泉もこの頃に実装されたみたいです。

La-Mulana Test Play5 2010/04/01公開

エイプリルフールに公開。前のPVから1ヶ月も経っておりません。たしかコレは完全に俺の独断でやっていたはず。前はNIGOROサイトの方にエイプリルフールネタを頑張って仕込んでいたんですが、何かネタを提案した所で仕込む作業は俺がやることはわかりきっていたので、NIGOROサイトでのウソネタは無視、PV代わりにもなるからこっちでウソついちゃえ!ってものです。
発売されてからなら、どこの部分がウソだったのかわかると思いますが、このPVの狙いは「ウソのようで半分はマジ」で発売されてからビックリさせてやれってものでした。ピックアップして改めて解説を。
tp5-1ロックマンのティウンティウン
ウソに決まってる。しかし象にターバンは古いネタでしたがホントに実装。産声の碑もこれが初お披露目。

tp5-2親父乱舞
親父がスフィンクス像を壊す瞬間のアニメ。これはウソ……ではなかったんだな。ピラミッド左側で親父を見て、ピラミッドの内部を通ってここに来ると見られると言う隠し要素でした。この頃はアニメイベントがうまく使いこなせず、実装を断念したんです。

tp5-3双連の店
これはオリジナル版を知っている人なら意味が分かるネタ。ホントに仕込んだ。

tp5-4会話する人の立ち絵が出る
こんなもの実装するか!

tp5-5白魔女
冗談のような魔法攻撃ですが、しっかり実装しております。

武器妖精・ヘカトンケイル
実装ですな。ヘカトンケイルは初披露です。

tp5-6マルチプレイ
アホか!

次元回廊・女神の塔
初披露ですね。この頃にはほぼ全てのフィールドが仕上がっていたものと思われます。

tp5-7オリジナル版導きの門
ウソ筆頭かと思われていたみたいですが、ばっちり実装。

tp5-8飛び込む長老
ウソ筆頭と思わせておいて最大の隠し球。

tp5-9
ウソに決まっておる。

他にも気づくとこがあって、月光聖殿の針のワナが左右に空きスペースがあるのは、この頃起きていたバグです。降りてくる仕掛けに壁ピッタリ密着させると壁にぶつかったと判定されて仕掛けが止まっちゃってたんですよ。灼熱洞窟のブロックパズルがオリジナルと同じブロックを3つ使うものだったのが変更になったのは、妙な詰み方をするとバグることがわかったためでした。

La-Mulana PV #0 2010/11/09公開

間が空いてますね……。エイプリルフールなんて余裕かましてたくせにまだ開発終了のメドが経たなかったので、もうダンマリきめてまえ!な時期だったと思います。これも時期的に東京ゲームショウの為に作った映像だね。外人記者に向けたものなので英語メッセージでプレイしてます。
このPVからやっと、Wii本体から鳴る効果音とBGMが使われてます。一部オリジナル版の効果音は残ってますが。
このPVが公開されるまでにLA-MULANA Musics for Wiiという映像群を出してますし、BGMが仕上がってきてた頃ですね。この音楽PVと#0に使われているBGM、もちろん製作中のものなわけで、完成版とは細かくアレンジが違っております。グラフィックも細かく違いがありますね。
メディア向けなので仕上がりたてホヤホヤのルームガーダー、ガーディアン総出演ですな。
しかしこの頃になってもダメージ中博士の表示が安定してませんな。動画の最後の「in 2010」がイタイタしい。

La-Mulana PV #1 2011/05/31公開

この頃はもう、時期的に完成品が使われてますね。当たり前か。
もう発売日が確定していて、作業も無くてプロモーションにしっかり力を入れてた頃です。
これまでのPVは手間をかけないようにiMovieというMacintosh付属の簡易ムービー編集ソフトでやってましたが、このPVからAdobe After Effectsを使ってしっかり作りました。
そして博士ダメージ問題も、透明を使った点滅ではなく赤に変化する点滅に変更することで、ようやっとビデオにもしっかりダメージ中の博士が映るようになりましたとさ。

長くなりましたが最後におまけ。
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今回の秘話を書くにあたって、当時の素材をいろいろあさっていたんですが、データ紛失してしまって今となっては聞くことが出来ないと思っていた灼熱洞窟の初期テストBGMが録画映像の中で鳴ってました。このデータはリメイク版でもっとも初期に作ったBGMで、音作りのテストを兼ねたものです。どんな音が鳴らせて、どんなデータ構造になってるのかなっていうテストです。テストなのでもちろん練り込んでない、鳴らしただけの素材ですが、なんかオリジナル版とは違う音にしようとしているというか、普通に鳴らしてるはずなのになんで音が割れるんじゃいとかいろいろ思いだしますなぁ。ループできるかどうかのテストも兼ねてたので変な所でループしちゃいますが、こういう物から今の音になっていったんだよという貴重な素材。データ紛失してなければこの路線のまま進んでたかもねぇ。

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