BGMも人気があるわけでなく、フィールド自体も一通り謎を解いたら印象に残らない太陽神殿ですが、リメイク版では非常に思い入れのあるフィールドでございます。
そーなんです。人気ないんですよ、ここ。人気と言うか、印象が薄いというか。ボスはエリマキトカゲだし。古代文明関係ねぇー。
元々は各フィールドごとにアクションの特徴をつけようって所から、「坂のあるステージ」担当だったわけで、坂だったらピラミッドって感じでエジプト文明がモチーフになってます。
逆に言えばそれだけで終わってしまってたフィールドなんだな。ストーリーつきの巨人霊廟や表裏でギチギチに関連性をつけた導き・迷いや無限・次元なんかと比べると印象が薄い。
その理由のひとつにオリジナル版の頃に指摘されたんですが、「裏面との関連性が弱い」でした。リメイクするならこれを何とかしなければならない。
一番最初に考え出したのがあの中央にそびえる大ピラミッドでした。ピラミッドを中心に巨大列柱、巨大神像を並べたあの空間です。力入れすぎてここに匹敵する見所が他のフィールドにないってのも問題なんですけどね。
導き、巨人とチュートリアルが続いて初の実践なわけで、構造自体は凄く単純で広い空きスペースも多いので背景に力を入れやすかったんですね。後半のフィールドになるほど床と壁がぎっちぎちに埋まってるから背景で遊べなくなるんです。
とにかく、太陽神殿はオリジナル版の頃から中継地点として作られてました。ここの聖杯石碑にワープしてから中盤の表フィールド3つ、裏フィールド1つにつながる移動の拠点。
女性像とか親父とかでたまーに立ち寄る程度の印象の薄さをなんとかしなくちゃならない。しかしリメイクするとはいえ各フィールドの役割自体は大きく変えられないから中継地点なのは変わらない。オリジナル版以上に頻繁に立ち寄る何かがいる。
なのでリメイク版での新要素、ムーブルクを置くならここしかないと思ってました。ムーブルクと言えば、最初はここにいました。
なんでかって言うと、オリジナル版でここに語り部がいたからです。一応、各フィールドに1語り部みたいなルールで作ってたので。
自分のゲーム作りの教科書のひとつに、山下章のチャレンジAVG&RPGっていう本があるんです。そこに書かれてた、「ドラクエⅢのアリアハンの城は入って上キーを押しっぱなしにしていれば王様の前に出る」っていうのをとても大事に考えててですね。
頻繁に立ち寄ってほしいはずのムーブルクがこんな奥まったところにいちゃいかんだろうってことで、聖杯石碑から下に降りていけばすぐという今の場所に変更しました。マントラ石碑が並ぶ部屋ってこともあって、書物の神であるトトの間ってことで収まりも良い。
オリジナル版と比べると月光聖殿に行くのが非常に簡単になってますね。即死罠付きではありますが。
これはオリジナル版を遊んでいた人からのフィードバック。「ガーディアンを倒さずにどこまで進めるか?」っていうプレイが盛り上がっていて、本来ならガーディアンを倒さないと裏フィールドにいけないんですが、「太陽神殿のピラミッドから月光聖殿に入ればある程度は裏フィールドも回れる」っていう攻略が見つけられたんです。
ただオリジナル版ではあの太陽を壊すのに発弾筒が必須だったんです。作ったこっちはそんな進め方自体を想定してなかったわけで、このルートがゲーム攻略に幅を持たせてくれるのであれば積極的に使ってもらう形にしてみては?ということでどんな武器でも太陽壁画を落とせるようにしました。
これをやることでデバッグというかルート構築はえらい作業が増えたんですけどね。簡単に入りやすくしすぎた為に初プレイの人が早いうちから裏フィールドに入って散策エリアが必要以上に広まってしまったり、序盤から斧無双が可能になったりしたんですが、攻略手順に変化が出るのが狙いなのでそれもまた良し。
マップ構造の話でもう1つ。リメイク版でも基本的にフィールドの部屋の並び方はオリジナル版を尊重してます。並び方から修正を入れたのは次元回廊とココだけだったりします。
次元回廊のほうはただ単にオリジナル版と謎を変えてやろうってだけの話ですが、こっちのはもっと複雑です。オリジナル版ではヘルメスの靴が太陽神殿にありました。
そうです。空の水源まで巡ってようやく手に入れられる宝が靴。これは「序盤では坂が上れない」>「空の水源をクリアすることでピラミッドの向こうに行ける」ために靴がココに置かれてたんですが、これもまぁ面倒が上回ってる気がしてね。
ドルアーガの塔でさえジェットブーツは2階にあるのに。足が速くなるという便利アイテムが出るにはちょっと遠すぎると思ったんです。
じゃあ何を置くのがいいか? ピラミッドを越え、空の水源を越えてやっと手に入る重要な宝。これはもう、銅鏡しかないだろうと。他にもあるんじゃないの?と思うかもしれませんが、アイテムの配置場所ってのは非常にデリケートなものでして、オリジナル版からあまり変更はしたくなかったので太陽神殿で入手できるものの中で一番重要なものっていうチョイスです。
では銅鏡が置いてあった場所、エルマックを倒した先の部屋には何を置くか。
さっきの月光聖殿へのルートと同じくユーザーの話題から出てきた話なんですが、オリジナル版ではエルマックを倒さない限り銅鏡が手に入らないので裏フィールドに入れなかったんですね。つまり幅広い攻略の邪魔になっている要素だったわけです。
それもあって銅鏡の取得をエルマックとは関係のないところに置きたいので今の場所に決めたってのもありました。しかしエルマックを倒した後のご褒美アイテムが決まらない。
ご褒美。よくよく考えてみると倒した後にご褒美があるガーディアンってエルマックだけだったんですよ。つまり、こいつだけイレギュラー。あ、ティアマトもご褒美持ってたか。まぁいいや。
太陽神殿で入手できるもうひとつの重要便利アイテムに妖精を呼び出す為のアイテムがありました。オリジナル版では店で売っていたけども、こいつをうまいこと使えばエルマックとアイテムの問題が解決する気がしました。
ご褒美イレギュラーの話とあわせてエルマックの隣の部屋は削除、その代わり4×5のルールで削った部屋をどこに置くのがいいか?一番上か。じゃあ「誰よりも高い場所」っていうヒントとセットで妖精がらみのアイテムを隠そうということで、フィールドの形から修正を入れたのでした。
敵の話も少し。
海外でやたら人気のあったケイト=シーに力入れたのは置いといて、太陽神殿に入った部屋ってムチだと敵がさばきにくいでしょ? あれはあの部屋のケイトシーもベンヌも博士の下から襲うように配置して、車手裏剣かナイフがないと難しいと思ってほしかったからです。よく考えてるでしょ? もちろん偶然の産物さ。
他にもオリジナル版ではムチ1発で倒せたヘッジも体力を上げて、「導きや巨人より難しいフィールドだよ」ってことを伝えようとしてみてます。
ブエルの部屋のビーム乱射ですが、テストプレーヤーから「最初に戦うルームガーダーだからもっと殺しにかかっていいと思う」って意見からあのようにしてみました。ジャンボオバケのことは置いといて。
オリジナル版のエルマックはレールがうまく使えてないのが反省点でした。そもそもあのスクロールスピードでコース変更なんてできねぇっつーの。だったら1本道でいいやな。
まーとにかく「でっかいエリマキトカゲ」っていうネタだけで作ったような奴だったので、とにかく動かしました。ヒドイことをするガーディアンは多々あれど、登場の瞬間に即死食らわしてくるのはこいつだけかも。
最初に奥から来て手前に出てくるってのは初期企画のなごり。遠くの奴がジャンプして移動したと見せかけて、じつは2匹いたんだよ!って前後をエルマックではさまれるっていう案だったんですけどね。無茶でした。
いやね、当時作業中BGMがわりにZガンダムのDVD流してて。「2機のマラサイを1機に見せる作戦だ!」っていうので吹き出してしまいまして。
恒例の「あまり話題になっていないスキャナメッセージ」のコーナーぁ!
これは気づいている人は多いと思うんですが、ウジャトの壁画は調べれば「ウジャト」と書いてあります。オリジナル版の頃は「ぐぐれカス」扱いだったけど、さすがに調べればわかるようにしたんです。
神様の像は全部調べられるのも知ってる人は多いでしょう。でも知ったこっちゃないでしょうが、ピラミッドの周りの4柱が全部「死」に関連する神様だったり、至聖所で2柱並んでいるのは夫婦だったり、ウジャトの部屋にホルスを置くのも、一応自分なりに考えて神様の席順決めました。
青い床を動かす為のレールにもメッセージ仕込んでます。あれはトロッコ落として落下繰り返してるうちにいつの間にか青い床が降りてるからあまり意味なかった。そうだ、ゲートのふたも調べられるねぇ。
スキャナネタとはちょっと違うけど聖杯石碑の左にあるでっかい壁画。白い巨人の壁画って奴ね。これはアフリカのタッシリ=ナジェールにある壁画ですが、発狂サキトを表したもののつもりで置きました。
うん、太陽神殿はほんとに開発の間ずっと、なんとか印象付けようと必死であり続けた結果の思い入れでしょうなー。
私はここが一番記憶に残るフィールドでした。
初プレイ時、聖杯もなにも取らずここの聖杯石碑まで来ちゃいまして、靴がないので戻れず、更に錘が一つしか無く、下からのルートでも帰れず困りました。空の水源といい、入り口に錘ゲートがあって、全く酷い作りですよね〜。
HPも少ない瀕死状態だったもんで、途中、様々な即死や閉じ込め罠にハマったり、ひたすらヘッジを狩って回復したり、宝珠わっほいしたり、月光聖殿のかっこよさに見惚れるも帰れなくて自殺したり、錘の店を見つけるも帰路で死んだりして、やっと帰れたんですが、もうアンクジュエルもあり、トロッコも押していたので、バエナを差し置いて先にエルマックに挑むことにしました。
死闘の末、なんとか倒したら、聖杯がなくて脱出不可能\(^o^)/
ここまでで4時間以上かかりましたかねぇ。多分太陽神殿が最も多く居たフィールドだと思います。ムーブルクも居ますし、
その結果、地味と感じたBGMでしたがサビの部分がかっこいいと感じ始めて好きなBGMになりつつ、最終的には微トラウマBGMになってしまいました。
聖杯は便利ですが、徒歩で現場に行ったり、窮地からの帰還!しかし道中で死亡…みたいな冒険感が薄れてしまう気がします。
そういう冒険感が無くても魅力的なゲームはありますが、遺跡探検なんだから、そういうのがあっても楽しいかなーと思います。
余談ですが、聖杯なしでラスボス手前まで行くって可能なんでしょうかね?エルマックはさきに双子の像取ってれば良い話ですし。墓場→月光→迷いルートで。
それは印象的というかトラウマでは。聖杯無しでそこまで進めた報告は初めて聞いたかも。
オリジナル版よりはいろんなところにオモリ扉増やしてるんですが、これは店の利用率を上げるためにオモリの消費を増やす為だったんですけど、オモリがないから帰れないって言う悲劇をたくさん産んだみたいでうれしい限りでした。
聖杯のない「戻りたい!」スリルはもちろん議題にはあったんですが、そこから先の中盤以降が「聖杯ないとやっていけない」広さになりますからね。このリメイク版では「なんとか聖杯石碑にたどりつきたい!」スリルを重要視しました。
聖杯無しでラスボスはどうかな。広すぎて作者自身はそこまで把握しきれていないという。